●この銀貨は、古代ギリシャ世界で最も美しいデザインと称されるコインのひとつ、シチリア島シラクサ(Syracuse)で紀元前450〜440年頃に鋳造されたテトラドラクマ(4ドラクマ)です。重量は17.38g、素材は銀。現存する中でも特に保存状態に優れたMS(Mint State)グレードの希少個体で、Strike: 4/5, Surface: 4/5 という驚異的な評価を得ています。 
表面には、ギリシャ神話で最も美しいニンフとされる「アレトゥーサ」の肖像が描かれています。特筆すべきはその右向きの構図で、これは紀元前430年以前にのみ見られる極初期のスタイル。市場に出回る多くのシラクサ・テトラドラクマは左向きであり、この右向きタイプは極めて希少です。アレトゥーサの周囲には4匹のイルカが配され、海の都シラクサの繁栄と海洋支配を象徴しています。 
裏面には、4頭立ての戦車(クアドリガ)と御者、そして勝利の女神ニケが栄冠を授ける姿が力強く刻まれています。これは単なる競技ではなく、都市国家としての威信、神の祝福、軍事的勝利を意味する神聖なモチーフです。 . シラクサは古代ギリシャ世界の中でも最も繁栄したポリスの一つであり、軍事・芸術・学術の中心地でした。特に紀元前5世紀中頃には著しい都市の隆盛を見せ、アルキメデスをはじめとする科学者や芸術家が集ったことで知られています。 
このコインが作られた時代、シラクサはカルタゴや他の地中海諸国との抗争のさなかにあり、都市国家としての威信と信仰、そして豊かさを示すために極めて高水準のコインを鋳造しました。彫刻は、後のギリシャ美術に強い影響を与える精緻な造形技術を誇ります。 . 保存状態「MS(Mint State)」で現存しているものは極めて稀であり、通常は美術館や学術機関が所蔵しているレベルの品。右向きアレトゥーサの頭像という点を含め、市場流通している中では最上級の芸術性と希少性を兼ね備えた個体と言えます。 . まさに手に取れる世界遺産。本品はコレクターにとって一生に一度出会えるかどうかのクラスであり、芸術品としても投資対象としても極めて高い評価を受けるでしょう。 |